キュウリ
生産地:陸地部全域・島しょ部の一部
パリッと弾ける新鮮でみずみずしいキュウリ。野菜のなかでもっともポピュラーと言っていいくらい、日々の食卓に欠かせない野菜です。JAおちいまばりでは夏の旬の時期には毎日6トンものキュウリが今治市内のほか、京阪神へ向けても出荷されています。
キュウリは栽培のしやすさでも優秀な野菜です。苗を植えてから約1か月で収穫ができるほど成長が早く、露地からハウスへと作型を変えて栽培すると、なんと初夏から年末まで長期にわたって収穫ができるそう。特に露地栽培は初心者も始めやすいと挑戦する人が多く、現在JAおちいまばりのきゅうり部会には約100名が在籍(2023年8月現在)しています。今回は部会の2人の若手農家の方にキュウリ栽培のこと、農業への思いを伺いました。
出荷時期
種類名 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||||||||||||||||||||||||
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キュウリ |
品種名 | 時期 |
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キュウリ | 5月中旬〜12月中旬 |
稼げる農家になる!
「残念ながら、もうかりますよ!」と話すのは、菊間を拠点に市内各所の畑でキュウリを栽培する小泉祐輔さん。キュウリってもうかりますか?という失礼な質問に、即答で断言してくれました。小泉さんは就農して今年で10年目。そば店やカフェなどの飲食店の経営から農家に転身したという異色の存在です。それにしても、なぜ農業を?
「飲食店ももうかるんですけど、その天井がすぐきます。」と小泉さん。利益を出すために店舗を増やしたりと、多額の設備投資を続ける飲食店よりも、頑張ったら頑張った分だけ稼げる農業が魅力だったといいます。さらにタイミングも味方しました。高齢化で農業を続けられないなど担い手のいない畑が増えてきたのです。無料で託された畑に、必要な資材さえ用意できれば、あとは自分の体で勝負!といいます。
もちろん農業だって甘くはありません。まったくの素人ですから、初めの5年は失敗続きでうまくいかないことの連続だったと振り返ります。そこを助けてくれたのが、JAの指導員のきめ細かいサポートと持ち前のやる気と根性。トライ&エラーを繰り返し、ひたすら経験を積み重ねて乗り越えてきました。
農業のイメージを変えたい
今では露地とハウスを合わせて約1ヘクタールの畑を管理する小泉さん。今年は3,200本の苗を定植し、ピーク時には約700キロ、数にして7,000本ものキュウリを出荷するといいます。今後はもっとハウスを増やしていきたいと、話しながらも手際よく芽かきをする手は止まりません。簡単に見えますが、病気の予防や収穫量にかかわる大事な作業です。小泉さんの手は、今ではもうすっかりプロの貫禄があります。
そんな小泉さんをサポートするのは、奥様や友人知人、ご近所の方などなど。チームワークで朝晩の収穫作業を支えます。みんなで畑を耕し、美味しいキュウリを作り、出荷する。その手応えが、明日のエンジンになる。小泉さんのキュウリ畑からは、前向きなエネルギーが伝わってきました。
「農業はもうからない、しんどい、そんなイメージを変えたい。」パワフルな小泉さんなら、きっとその言葉を証明してくれるはずです。
おじいさんの畑で地域に恩返し
「もっといいキュウリを作りたい」その思いをひたむきに追う人がいます。おじいさんとの思い出がつまった朝倉の畑でキュウリのハウス栽培をする越智雅史さんです。
松山で育った越智さんは大学卒業後、農業関係の会社に就職しました。その頃からいつか農業を、という思いがあったといいます。それは幼い頃のおじいさんとの思い出からでした。
今治でキュウリを栽培していたおじいさんは、畑へ連れて行って一緒に作業をしたり、「とにかく優しかった」といいます。冗談めかして「畑を頼むぞ」と言われたこともあったそう。そんなおじいさんの思いを引き継ぐ形で24歳の時、越智さんは一念発起して農業を始めました。
とはいえ、経験のない農業へのチャレンジです。何もわからないところからのスタートを助けてくれたのは、JAの指導員やきゅうり部会の方、そして越智さんのおじいさんを知る地元の農家の方たちでした。「孫が急に畑をやりだして、どうしたんだ?とみんなが気にかけてくれて、手取り足取り教えてくれました」と当時を振り返ります。
新しい栽培方法にチャレンジ
ここ数年、越智さんが取り組んでいるのはキュウリの新しい栽培方法です。「主枝更新型つる下ろし栽培」といい、今治でこの栽培法を導入しているのは越智さんだけ。枝への負担が少ないため、収穫期間が通常の摘芯栽培で3か月ほどのところ、倍の6か月と長く収穫でき、良質なキュウリが安定して多く採れることがメリットです。最盛期には、約30アールの越智さんの畑では一日に600キロ、およそ6,000本のキュウリが収穫できます。
農業を始めて10年、「これが夢だったと思わず、もっとよくするにはどうしたらいいかと、それだけを考えてやってきました」という越智さん。ずっと変わらず根底にあるのは、良いキュウリづくりへの真摯な探究心。その思いが、新しい栽培方法にも果敢に挑戦するきっかけになりました。
最近では地域の高齢化から、担い手のいない畑を使ってほしいと相談を受けることも増え、すっかり頼りにされる存在になりました。地域に支えられた恩返しを胸に、日々美味しいキュウリづくりに汗を流す。そんな越智さんを、おじいさんもきっと空から見守ってくれているでしょう。
キュウリ 3つのスゴイ!
- パリッと新鮮な食感
収穫後に冷蔵保存で鮮度を守ります - いつでもおいしく食べられる!
露地とハウスで長期間の収穫を実現 - 安全安心なキュウリを目指す
JAや部会のサポートのもと常に生産技術の向上を目指しています